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最高裁判所第一小法廷 昭和32年(オ)104号 判決

主文

原判決を破棄する。

被上告人らの請求を棄却する。

訴訟費用は全審級を通じ全部被上告人らの負担とする。

理由

上告代理人弁護士軸原憲一の上告理由。

原判決がその認定のような事実関係の下で、本件補充選挙人名簿を無効のものとした判断は当裁判所も正当として是認する。されば、本件選挙は結局選挙の規定に違反するものといわなければならない。そして、原判決は本件選挙における立候補者数、当選者、落選者の各得票数が別表のとおりであることを、当事者間に争ない事実として確定した上(原判文の全体からそのように解する)、その挙示する証拠によつて右投票中、右無効な補充選挙人名簿による投票が二六六票あつたものと認定したことは原判文上明らかである。

さすれば、最高点当選者の得票数と落選者中最上位の者のそれとが二三七票の差に過ない本件において、本件補充選挙人名簿が適法に調整され、且つ、縦覧に供せられていたとすれば、本件選挙の結果と違つた結果になつたかも知れないし、最高点当選者も必ずしも当選していたものとは断定できないから右は公職選挙法二〇五条にいわゆる選挙の結果に異動を及ぼす虞ある場合に該当するものといわざるを得ない。従つて、本件選挙は無効のものというの外なく右に反する原判決は失当であつて、本訴請求は排斥を免れない。論旨は理由あるに帰する。

よつて、民訴四〇八条、九六条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 入江俊郎)

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